テレビパブリシティと番組企画

テレビ番組での企画の考え方はニュース番組、バラエティー番組、ドキュメンタリー番組など、番組によって変わります。

朝の報道番組ではCMはもちろん、番組の中でもお酒の取り上げはセーブされます。
値上げのニュースや発表会など、報道ニュースとしては取り上げられますが、酒づくり体験や試飲などは番組の判断によって避けられることも多くあります。

一方、夜のバラエティー番組ではCXの「人志松本の酒のツマミになる話」やTXの「二軒目どうする」、NTV「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」の”朝までハシゴ酒””テッペンまでハシゴ旅”のコーナーなど商品紹介こそはないですが、お酒ありきのコーナーや番組があります。

このように番組の中身や趣向だけでなく、放送時間によって取り上げる企画の考え方は変わりますが、PRパーソンがテレビパブリシティの成立を図るとき、番組企画はこの「番組のレギュレーション」に加えて、「企画」自体の捉え方を把握できているか、によって精度が変わってきます。

クライアント様から「メディアに惹きがある企画」を求められることが多いですが、この「惹き」はどのようにとらえられているのか、事実だけでもつかんでおくことが、自社の広報活動を検討するうえでメディア露出の可能性を高めることになると思います。

ソーシャルファクトとプロダクトファクトでとらえる

メディアで取り上げられるための「惹き」は、大別すると「ソーシャルファクト」と「プロダクトファクト」で捉えられることができます。

企画を考えるとき、ソーシャル=社会性を持つものが企画になり、プロダクト=そのソーシャルに沿うものの中から、プロダクト(やサービス)自体に沿う魅力を持つものが取り上げられることになります。

ソーシャルファクト

「ソーシャルファクト」は、社会の現象や世の中の動きこと。

・季節性
・トレンド

が大きくわかりやすい観点かと思います。

季節性は、四季の行事や記念日などが分かりやすい一例。
例えば、今月だと「ハロウィン」や「紅葉」で、この時期に節分のネタを取り上げるのは想定しにくいですよね。
ただ、早くも正月の準備が!などと言っておせちの予約が始まったなどを残暑厳しい8月下旬に取り上げることもありますが、それは「いち早いニュース性」を重視します。
ただ一般的にこの時期には、紅葉ロケや、サツマイモ掘り体験など、その時期に旬なトピックを取り上げられることが想像されるかと思います。

トレンドは、実際に流行っているものですが、その中でも「意外性」「現象」がポイントです。
昭和レトロはしばしば取り上げられるトピックですが、西武遊園地のリニューアル時・アデリアのリバイバル食器などがバズったことで多く取り上げられました。令和女子が「昭和」にはまる「意外性」に注目された形で、Y2Kファッションなども同様の注目のされ方ですね。
また、そこにインフルエンサーが取り上げていたり、行列ができていたりすると「現象」の価値が高まって取り上げられやすくなります。

今世の中的に話題性の強いものを(もちろん流行は年代によって違うこともあるため、番組のカラーによって変わりますが)取り上げます。 以上のことから、ソーシャルファクトから企画を考える際は、この季節性と流行りどちらかが合致している必要があります。

プロダクトファクト

「プロダクトファクト」は新店舗のオープンや世界初など、新規性や新奇性があるものが分かりやすいと思います。

例えば、4月にオープンした歌舞伎町タワーはオープン日に各局で取り上げられています。

国内最大級のホテル×エンタメ施設複合タワーができるという、新規性と今までにない新奇性があったため視聴者にとってもすごく興味深い内容であったことが理由ですが、ソーシャルファクトの観点からみても、インバウンドが戻ってきた社会にとって、需要のある要素として捉えられため、様々な番組で取り上げられました。

それ以外では、ソーシャルファクトになりえるもの、例えば今の社会的問題でいえば物価高や雇用問題から鑑みたお得術や、人不足解消のサービスなど、社会の現象との関連性を見極めるとプロダクトの魅力が見出せる・引き出せることもあるかと思います。

まとめ

  • ソーシャルファクト
  • プロダクトファクト

どちらかの要素から企画を考えることがテレビ番組では大半です。
ただ、これらを全て網羅できることはなかなか難しいでしょうし、網羅出来たとしても、他のニュースが立て込むときなどはタイミングよくニュース番組では取り上げられない場合もあります。

様々な要因で成り立っているテレビ番組の企画ですが、テレビパブリシティを成立させるために広報的観点を養うために、まずは情報を発信するタイミングや自社だけではなく幅広い知識や世の中の動きに敏感になることで、この「ソーシャル」と「プロダクト」を照らし合わせる・沿わせるように考えることが、まずは重要かと思います。

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