スポーツマーケティングの心得

日本代表の活躍で、FIBA バスケットボール ワールドカップ2023は大変盛り上がりました。続いて始まったラグビーW杯では、前回の自国開催ではなく、今回の仏大会のオフィシャルスポンサーに日本のビールメーカーが名乗りを上げたことが、世界のスポーツビジネスシーンでも話題になりました。
今年は、隔年開催の「世界陸上」が8月に行われたり、コロナ明けでフル開催のスポーツ大会も増えるなど、例年以上に国際的なスポーツ大会の話題に触れることが増えました。

そうかといって、多くの企業では、
うちもアサヒビールみたいにスポンサーになってCMバンバン流すか!
うちもNTNみたいに地道に陸上を応援するか!
というわけにもいかない、先立つものが…というところかと思います。

ただ、これだけ盛り上がっているスポーツマーケティングの世界を知っておくことで、様々な「風が吹けば桶屋が…」のPR発想が展開されること間違いなし。
それくらい、スポーツマーケティングのマーケットは広がっています。

改めてスポーツマーケティングの意義を知ろう

スポーツマーケティングの大目的は、「スポーツを通じて自社や自社商材をPRし、販促すること」ですが、そこにはもちろん、企業の様々な意図が含まれます。

これまで弊社が携わったクライアントも含め、企業の意図を鑑みると、

1)世界的な自社知名度とイメージを向上させたい
2)特定のターゲットへのイメージ戦略
3)新しい技術やサービスを提供する

に大別できると思います。

日本ではそれほど知名度がないスポーツでも、世界では大変人気があるスポーツだったり、「紳士の」「貴族の」「若者文化の象徴の」スポーツだったりします。それぞれの世界的なイメージをつける、特定のターゲットに好印象を持たせるのには、スポーツは格好の舞台です。

また、選手が身に着ける着衣や器具に使う新素材、撮影・映像配信などの技術、季節や時期によっては会場で観客が試すことができる季節商材まで、
toC/toBに関わらず、様々なスポーツという“感動”と共に体感してもらうことができるのは、テストマーケの場としても魅力的です。

具体的なスポーツマーケティングの事例

今回のラグビーW杯のメインアルコール飲料となったアサヒビールは、現地でのビールの独占販売権を手にしました。それ以外にも、スポーツ番組などで取り上げてもらうことでメディア露出も強化しています。
三菱地所は、スポンサーになるだけでなく、街づくりにラグビーの熱を活かす形で、様々な公式イベントをスポンサードし、丸の内=三菱地所のイメージUPに繋げています。

ライバル企業で興味深いところでいうと、ラグビーはドコモがずっとサポートしていますが、バスケットボールはソフトバンクがサポート。この辺りはターゲットのイメージの違いが表れているといえるかもしれません。

世界大会のスポンサーともなれば、放映権を獲得したテレビ局との連携、関連の交通広告なども折半出稿があったり、大きな予算が投じられるプロジェクトとなりますが、そこまで大きなスポーツイベントでなくても、自社の事業に応じて、様々なサポートの仕方・関わる人へのアピールの仕方が多面的に考えられるのが、スポーツマーケティングの面白いところです。

効果とリスク

スポーツの場で伝えられる、最も他と異なるマーケティング要素は、「その熱量」だと思います。特にナショナルチームの応援ともなれば、スポンサーも日本を代表する企業としてイメージ付けられ、誇り高く感じてもらえることとなるでしょう。

その反面、リスクとなるのが、自国代表の勝敗によって効果が大きく変わること。早々に自国が負けてしまえば、注目度が下がり、そのスポーツのファンまでの情報拡散に留まってしまう可能性が高くなります。
このリスクも見越して、事前の盛り上げをいかに作り上げることができるかが、大きな費用対効果を生む成功の鍵となります。

まとめ

本来の意味合いは芸術などへの支援「メセナ」と同じように、そのスポーツを純粋に応援する意図であってほしい、と思いますが、企業がお金を出す以上、マーケティングの要素が働くのは当然ですし、これだけ国際的なスポーツ大会にお金がかかる今の時代、むしろ肯定的に企業のエンパワーメントを有効活用したほうがそのスポーツに於いてもメリットが大きいと思います。

だからこそ、自社の商材とそのスポーツとの親和性を見極め、スポンサーする大会のプロモーションで新しいサービスを作り出すくらいの、積極的・長期的なマーケティングが必要でです。

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