リテナー活動をご相談いただく際、活動報告のレポートや定例会議をどのような内容で運用すればお互いに納得できるのか、ご相談いただく機会が立て続きました。
外部パートナーとの連携がうまくいかない、
成果が見えにくい、そもそもどういう成果を求めればいいのかわからない…
そもそも「成果」が見えにくいのは、最初の「目標」をしっかりお互いに納得・把握できているか、にかかっていると思いますが、企業側に広報の外注実績がない、ご担当者様に経験がないなどの場合、どこまで外部パートナーに求めてよいかも、「広報」という業務の性質上、分かりにくいものです。
それをどのようにレポート化すれば、お互いに満足のいく活動になるでしょうか。
一般的な「活動報告書」の項目
前述の通り、どのような「目標」を立て、それに伴いどのような「業務」を月極で課して(外部パートナーにとっては課されて)いるか、によりますが、広報活動の活動報告書の項目は以下のようなものが一般的です。
1)活動の概要
報告期間中に実施した主な活動内容を簡潔に記載します。
2)活動実績の報告
リリースの配信やメディアリレーションなど、目標数を課した業務内容があるはずです。
月極で課された内容を実施したよね、と言う確認として実績を振り返ります。
外部とリレーションした内容はどのような質問や課題が上がったか、どういったリアクションがあったか、なども詳細に報告することで、
課題と解決の洗い出しをしやすくなります。
3)作成資料の提出
2)で活動するために、
外部パートナーは必ずその月ごとにターゲットとなる発信すべきメッセージやクライアント様の取り組みをまとめた書面を作成しています。
リリースや誘致状など、クライアント様が事前に確認した公式書面の場合は活動途中でやりとりされていると思いますが、
メディアリレーションを強化されたいクライアント様が多い弊社では特に、媒体ごとの特性に合わせて、時節のニュースや関連データ、
他社様の動向なども含めてそのまま媒体の企画案になるような企画書をクライアント様に許容いただける範疇で作成しています。
これらの資料から、今メディアを始めとするステークホルダーが求めている関連情報や、自社の情報の発信の仕方などをご理解いただけることも多いので、
合わせて資料を提出するようにしています。
4)掲載状況(クリッピング)
クリッピング報告もまとめて行うことが多いです。掲載の一覧と、キャプチャされたものを書面で作成します。
最近では、メディアだけでなくソーシャルメディアでの主だった書き込みや、自社アカウントの運用の効果・分析結果などをレポートする場合も有ります。
5)課題と解決、次のステップのご提案
活動を通じて発生した課題や問題点を明示し、次回以降の改善策を提案します。
最も重要なのは、クライアント様に対して次のアクションを提案すること。何の情報を提供すればどのように活動が前進するのか、
をご理解いただくのが難しい場合が多いので、これをしっかり提示できる外部パートナーとなら、信頼関係を築けると思います。
上記を提示した上で、半期や年間で設定した目標に近づいていくように微調整をしながら活動を進めていきます。
活動報告書にかける経費
「報告書作成に時間をかけるなら、その分活動してほしい」
「読み込まないから日々のやり取りで十分」
というご意見のクライアント様も少なからずいらっしゃいますが、活動報告書は、そのためだけに経費をかけるつもりはないので作成させていただきたい、と私どもではお願いをしてでもご提出させていただきます。
一か月間活動した、クライアント様へのラブレターでもあるからです。
企業の広報担当者も、多忙につき「外部に頼んだら勝手に広報活動が自走してくれる」のがベストと思っていらっしゃるとは承知していますが、
残念ながら自社の情報は内部の社員にしかわからないこともあります。
社内の情報収集も一緒にお手伝いする場合もありますし、そのために週に何時間かクライアント社内に“出勤”し、そのクライアントの名刺を持って活動するようなこともありますが、毎日出勤して外部に出せない秘匿情報や社内の空気感まで分かっているのは外部に発注している窓口の社員様しかいらっしゃいません。
クライアントによく申し上げるのは「一緒に汗をかかないと成功しません」。
大変な渉外はお任せ下さい、その分社内の情報集はお願いします、そのお互い自社の情報に愛情をもって向き合った結果の成果・解決して目標に達成するための方策をしたためたものが活動報告書、すなわちクライアント様への思いのたけ=ラブレターなのです。
重い愛は要らないよ、と言われるかもしれませんが…ロジカルでカジュアルなものでも、愛の質は変わりません(笑)ので、ぜひ活動報告書を一読し、これからの課題解決の手段を一緒に見定めていただきたいと思っています。
唯一、活動報告書に実費がかかるものがあります。「クリッピング」です。特に紙媒体のクリップは自社では不可能なので、専門会社に発注することになります。掲載がそれほどなくても実費がかかりますので、少しでも経費を削減されたい企業様はクリッピングは報告書に含めないご案内をしています。
効果測定の難しさ
広報活動は数値だけではなく、ステークホルダーの印象度や認知度を計測して初めてその成果の深度が得られますが、一般的に数値で分かりやすいものは以下の5つです。
●オウンドメディアの効果測定
SNS(インプレッション数、エンゲージメント率、フォロワーの増減)
ウェブサイト(PV・UU・平均滞在時間などのトラフィック、コンバージョン率など)
●メディアの効果測定
メディアの露出数(掲載回数のカウント)
広告換算値(掲載面積や放送尺に応じて、広告料金への金額換算)
●ソーシャルメディアの効果測定
SNS内での露出数、そのインプレッション数、エンゲージメント率、フォロワーの増減
●売り上げ(本来はPRでなくSPにおける領域ですし、WEBマーケでのみ測れる数値もありますが)
売上高や新規顧客の獲得数
リード(見込み客)の獲得数
●イベントやアンケート調査などの継続指標
過去の実績と比較することができるイベントの来場者数やアンケート調査などの指標の比較
原則的に「PRはADではないので、ステークホルダーへの訴求度は広告換算値では測りきれない効果がある」とされていますし、
売り上げへの効果はPRには本来は求められないところではありますが、
クライアント様の指標や目標設定に於いて、必要に応じてこれらを向上させることが指標とされることもあります。
実態としては、活動を進める上で、以下にクライアント様の課題解決になり、広報活動の体制作りなど目標達成の助けになるか、数字に表れないところでご評価いただく部分も多いので、「数字で出します!」と言うのは難しいところでもあります。
PRにおける効果測定は、古今東西、基準が難しいとされる議論になりますが、お互い目標設定に共通言語で認識し合うことが最も肝要と考えています。
活動報告書はラブレター
大事な一か月間の外注費を、どのように使用しているか、どのような課題が合って解決しようとしているか、
発注されている方もラブレターを毎月受け止めていただくことが、広報活動の成功の秘訣と思います。
そのために、社内で必要とされている指標をぶつけてみていただき、そのクライアント様に最適な活動報告書の項目を見定めていくのも、PR会社の重要なスキルととらえています。