東京ビッグサイトや幕張メッセで開催される業界団体などが主催する展示会は、来場者数万人規模の大型イベントでありながら、メディアにとって「報道価値のあるニュース」として認識されるとは限りません。
いわゆるリリースに記載するような開催概要を情報提供するだけでは、記者の触手は動きません。特にテレビの報道・情報番組を誘致したいというTVPRの観点では、画作りからタイミングも含めて、あまたの同時期に開催されるイベントや時節のトピックと競り合わなければなりません。
展示会ならではの、テレビパブリシティ獲得における「告知・中継・取材」という3つのフェーズに分けて、それぞれで押さえるべき準備と、取り上げられやすいネタ提供のコツを整理します。
告知 ~「なぜ、今報じるか」を準備する
プレスリリースの配信は開催の2〜3週間前を目安に。
もちろん実施のリリースはもっと前に配信されると思いますので、取材誘致のリリースをことを指します。
このとき最も重要なのは、単なる開催告知ではなく「ニュースバリュー」を明確に打ち出すこと。
業界として初めての試みか、過去最大規模の出展社数か、著名な登壇者や政府関係者が参加するのか。
数字と固有名詞をセットで提示すると、企画会議で通しやすくなります。
何年も定番になっている催事であれば、コンセプト、今年の傾向など、今回ならではの「トレンド」を提示するようにしましょう。
いわゆる「今」感も重要です。
さらに、DX、人手不足、SDGs、生成AIといった時事トレンドと絡めて「なぜ今このテーマが社会的に重要なのか」という文脈を添えると、業界紙だけでなく、テレビのような大衆メディアにも社会性が付与されて届きやすい。
実務面では、記者クラブ向け・専門紙向け・フリーランス記者向けにリストを分けて配信することが望ましい。
また、開幕前に事前説明会や内覧会を設定し、記者に先取り取材の機会を与えると、開幕日当日の記事化率が向上します。
会場図、出展社リスト、見どころ資料、そして高解像度の画像・映像素材をまとめたプレスキットを事前に準備しておくことも必要に応じて検討しましょう。
中継 ~会期中に「画になる」瞬間を用意する
会期中は、開幕日や注目コンテンツの実施日に合わせて「メディアデー」を設定することもあるでしょう。
テレビや動画メディアの中継を狙うなら、実演デモ、体験コーナー、VIP来場といった「映像として成立するシーン」をあらかじめ仕込んでおく必要があります。
話を聞くだけでは画にならない、というのがテレビ取材の実情だからです。
記者が動きやすい環境整備も重要な準備項目。
プレスルームの設置、Wi-Fi・電源の確保、取材許可証の発行フローなど、動線を事前に整えておくことで、当日の取材対応がスムーズになります。囲み取材やぶら下がり取材の時間帯をあらかじめ主催者・登壇者側と調整は追ってできますが、それ以上に必要なのは「お得感」。特にインフルエンサーなどは、より一般ユーザーに近い存在なので、拡散されやすい「お得情報」を求めます。
加えて、SNS速報用の写真・動画素材をリアルタイムで用意し、記者やインフルエンサーにその場で提供できる体制を作っておくと、会期中の二次拡散にもつながります。
取材 ~個別対応と事後の二次露出
個別取材への対応では、スポークスパーソンの選定とメディアトレーニングが鍵を握ります。
想定される質問に対するQ&Aや、業界動向を裏付けるデータ資料を事前に準備しておくことで、当日のぶれない受け答えが可能になります。
会期終了後は、来場者数や経済効果、成果データを速報でまとめて配信し、二次露出を狙うのも効果的です。
あわせて、出展社の中から特徴あるストーリー(独自技術、若手起業家、地方企業の挑戦など)を持つ企業をピックアップし、個別に記者へ橋渡しすることで、単発の展示会報道を継続的な取材につなげることが可能になります。
意識したい4つのコツ
数字を必ず入れる:来場者数、経済効果、成長率など、記事の見出しになりうる定量情報を用意する
比較優位性を明確にする:「業界初」「国内最大」など、他と比べた際の位置づけを一言で示す
ビジュアル要素を優先する:文章で説明するより、写真・映像で伝わる仕掛けを用意する(特にテレビは記録素材が重要です)
記者が書きやすいストーリーラインを提示する:「課題→解決→今後の展望」という構成で情報を整理しておくと、記事化のハードルが下がる
展示会そのものは「場」に過ぎない。そこに「報じたくなる理由」をどう設計するかが、PRパーソンの手腕の一つ。
告知・中継・取材の各フェーズで先回りした準備を行い、素材を提供し続ける準備が、メディア露出の最大化に繋がります。
イベント直前になるとそれどころでは無くなりますが、主催側とよく連携して、コンセプトがぶれないように行っていきましょう。




