広報における“周年”

企業にとって「周年」は、単なる年数の節目ではありません。
事業の意義を社内で見つめ直す機会であると同時に、社外に向けてブランドの歴史と信頼性を打ち出す絶好のタイミングでもあります。
今夏は、増量キャンペーンがトレンドに乗った形となったファミリーマートの45周年施策が話題を呼びました。周年をどう広報・PR戦略に活かすかを考えてみたいと思います。

ファミリーマート「45%増量」に見る周年活用の巧みさ

ファミリーマートは2026年9月に創立45周年を迎えます。
それに先駆け、同社は内容量を45%増やす「お値段そのまま おかわり45%増量作戦」を今年2度にわたり展開しました。もともと2021年の創立40周年を機に始まった「約40%増量」施策が好評を博し、以降定番企画として定着していたところに、45周年という節目を重ね合わせ、増量幅を「45%」という具体的な数字にリンクさせました。単なる販促キャンペーンではなく、「なぜ45%なのか」という問いそのものが会話のきっかけとなり、SNSやニュースメディアで自然に周年の背景が語られる構造になっています。

さらに同社は「あなたのいちばんを、たくさんつくる。『いちばんチャレンジ』」という新スローガンを掲げ、商品企画から店舗運営、環境対応、地域貢献まで8つの分野で挑戦を続ける姿勢を打ち出しました。増量キャンペーンという生活者に分かりやすい”入り口”と、ブランドの中長期的な方向性を示す”物語”を組み合わせている点が、この施策の意義だと言えます。

周年PRがもたらす二つの効果

周年を軸にしたコミュニケーションには、大きくは社内・社外の二つの効果を目的として、設計する必要があります。

一つ目は、社内への効果です。周年は、経営層や現場社員が改めて「自社が何のために存在し、何を積み重ねてきたのか」を振り返る機会になります。ファミリーマートも公式サイト上で創業1号店からの歴史を紹介するコンテンツを用意しており、こうした発信は社外向けであると同時に、社員のロイヤルティやモチベーションを高める内部広報としても機能します。
周年施策を検討する際は、社外向けの華やかな施策だけでなく、社内向けのストーリーテリングもセットで設計することが重要です。

二つ目は、社外への効果です。周年をきっかけに自社の歴史や実績を改めて発信することで、生活者や取引先に対して「長く支持されてきた企業である」という信頼感を醸成できます。
周年の数字や意義を新商品やキャンペーンの施策に落とし込み、生活者が体感・体験できる形にすることで、単なる告知にとどまらないファン化・エンゲージメント向上につながります。
これらはくすっと笑えるような、ダジャレ的要素がSNSでの投稿を誘発することが多いのが最近の傾向。それがまたメディアの取材対象となる、という好循環が生まれている視点もブランドによっては必要かもしれません。

広報担当者が押さえておきたい視点

周年施策を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。

まず、周年の数字そのものにストーリー性を持たせること。「〇〇周年だから記念キャンペーン」という単純な結びつけではなく、なぜその数字なのか、それが企業のどんな歴史や価値観とつながっているのかを丁寧に語ることが重要です。次に、社内外への発信を一体的に設計すること。周年は社員が自社を誇りに思うきっかけにもなり得ます。そして、話題化しやすい”生活者接点”をつくること。ファミリーマートのように商品や店頭施策と組み合わせることで、メディアやSNSでの自然な言及を増やすことができます。

私たちのようなPR会社にとって、周年施策はテレビパブリシティをはじめとするメディアリレーションズの力を最大限に発揮できる場面でもあります。
企業の歴史や周年の背景にある想いを、いかに分かりやすく、かつニュース性のある切り口でメディアに伝えられるか。周年という節目を単発の話題で終わらせず、企業ブランドの資産として長期的に活かしていくための設計こそが、広報担当者、そして私たちPRパートナーの腕の見せ所だと考えています。

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