フジテレビに出稿すること、フジテレビから取材を請けること

フジテレビのCMが殆どACジャパンに差し変わった異常な事態。
第三者委員会の結論が出る3月には落ち着くだろう…と見込まれていますが、誰もが経験したことが無い状況に、私どものクライアントからも判断に迷って相談されるケースが出ています。

フジテレビの営業の方たちの苦労は推して知るべし、なところですが、逆に出稿をやめなかったり、出稿を戻す企業も出始めています。

その企業の「信念」と「判断」が問われています。

これまでの「フジテレビ問題」の経緯

芸能界を引退した中居正広氏をめぐる女性トラブルの報道を最初に行ったのは「週刊文春」ではなく、「女性セブン」。12月19日のことでした。
この報道でもフジテレビ局員が同席していたことは報じられていましたが、『だれかtoなかい』も3月までは継続することになっていて、新しい中居氏の相棒MCとして岡田准一が発表されていました。

これに遅れること1週間、「週刊文春」が12月25日に「9,000万円」「CX編成幹部A氏が会食のセッティングに関与」という「女性セブン」より仔細でショッキングな内容を報じ、ここから年明けに一気に企業の判断が崩れることになっていきました。

出稿継続・再開の企業の想い

今後判断が変わってくる企業もあるかもしれないので、固有名詞は控えますが、
1月20日までに75社以上のCM差し替えが発表された流れに異論を唱えたのが、美容外科医の代表。「風評に揺れ動く世間の目を気にするのではなく、真実が明らかになるまでは出稿を差し止めず、注視する」と主張したことが話題になりました。

また、独特のフレーズでおなじみの通販企業は、今回の騒動についてはあり得ないとしているものの、制作されている番組とは別、との見解で出稿を続けています。

2月に入って、出稿を再開した企業は、その想いについて「問題が収束したわけではないが、より良い未来について築こうとしていると判断した」と明らかにしました。
実際、私どものクライアントからも、2月に入って出稿の判断について相談があり、改めて「企業ガバナンス」を重んじるか、「番組と企業は別」と考えるか、の判断を出稿する企業に求められる段階に入っています。

取材を請けるか否か

CMキャンセルは、番組からの取材や商品提供、撮影協力に応じるかどうかというところにまで影響を及ぼしています。

実際、ドラマの制作でタイアップした機関が協力テロップを外すように要請したり、
周囲でも年末から取材されていた番組が放送された途端、「フジテレビの番組の取材を請けるのか」と抗議の連絡があったという企業の話も伝わってきます。
企業側は、「出稿を止めているのに取材は請ける・商品やサービスは喜んで紹介してもらう、というのは局に対しても逆に申し訳ないというか、一貫性が無いとみなされるというか…」と、困惑しているところのようです。

そこに金銭の授受が無く、番組に「協力」しているのですから、一貫性が無いということにはならないと思うのですが、これも各企業の方針が分かれるところになっています。

改めて問う出稿の意義、報道機関とスポンサーの関係

テレビ局にとって、CM収入を減らされる理由としては、
1)視聴率や広告効果の低下
2)番組・局のブランドイメージの維持
3)政治的・社会的なスタンスへの疑問

が挙げられますが、今回はこの理由のいずれも、「番組」でなく「局(企業)」が関わってしまっているのが判断を難しくしているところだと思います。
どの判断も社会的に間違っているとは言えません。
右へ倣え、ではなく、スポンサー企業の矜持と信念による判断が、必要とされるところと考えています。

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