著名人を登壇させる芸能イベントは、テレビが普及するようになった頃から盛んに行われるようになり、今でもPRイベントとしてはオーソドックスなメディア誘致が叶う手法です。
それゆえに企画が先行して、「どうやったらメディアを呼べるの?」という後追いのご相談が引きも切らず…
芸能イベントでメディアをより誘致するために、どのようなことに留意して企画すればよいでしょうか。
○曜日がベスト!
まず、実施する「日」について。
一般の来場者を集客するなど、週末に実施するしかない場合などを除いて、月曜か木曜に行うことをお勧めしています。
なぜか…テレビの番組と、メディアの状況によるものです。
芸能イベントを紹介するような番組は、平日に集中しています。土日の報道・情報番組を思い浮かべてください。…タレントさんが登壇したイベントや、新CMの発表を紹介するようなエンタメコーナーが、ありますか?
あるとしても、そのほとんどすべてが、平日その週に行われたものを振り返る・まとめる内容のはずです。
週末に行われるイベントは月曜の放送で紹介できますが、そもそも芸能イベントでなくても週末は催事が多いもの。ニュースが多く、競合となるイベントが多いことが想定されます。
火曜に行った場合は水曜の番組で取り上げられることが想定されますが、水曜はオリコンを始めとした音楽系のランキング発表が多く、エンタメコーナーをこれらのランキング発表に充てる時間が長くなり、芸能イベントを取り上げるにはこちらも競合となる情報が多いです。水曜実施の場合も夕方の報道でこの情報を競り合うことになります。
金曜は一番お勧めしていません。なぜなら、金曜に実施した場合、その日の夕方しか、対象となるメディアが無いからです。「週明けの月曜は?」と思われるかもしれませんが、週末にも多くの競合イベントが実施される中、金曜に行ったイベントを取り上げてくれることは稀です。
上記理由から、消去法で月曜か木曜に行うことがベター、とお勧めしています。
その時間、本当に適切?
実施時間は何時頃がよいか、どれくらいの尺がよいか、をご相談されることも多いですが、
芸能メディア・エンタメ系のコーナーを持つテレビ番組はスポーツ紙を誘致する場合、「出来るだけ拘束時間は短く、遅くても14時までにおわるのがベスト」とご案内しています。
「メディアの拘束時間を短く」というのは、その日に行われる他のイベントにも取材に行かせてあげやすくするため。
掲載・放送するかどうかは別にして、可能な限り取材しておきたいと思うのが記者やディレクターの心理です。
独占取材が出来るなら別ですが、トップクラスのタレントの取材1件しか行けないのなら、それなりの著名度のタレントの取材を2件入れておきたいと判断する場合も多くあります。そのため、受付から開始までの時間を出来るだけ短くしたり、質疑応答や囲み取材の時間をより多くして退席時間に自由度を持たせるなどして、拘束時間を短くするのが取材を多く誘致する工夫のひとつです。
また、「14時まで」というのは、夕方の報道番組の開始に間に合わせるため。最近は現地から映像の転送が叶うようになりましたが、以前は元素材を編集してから放送納品をして…などとしていたので、16時頃からスタートする番組に合わせるために、テレビ局に戻り、簡易的に編集し、番組の最終チェックをうける、という作業に2時間くらい猶予を必要としていた番組が殆どでした。今でもその作業時間が取られているとより取材に来ていただける腰は軽くなるというもの。
もちろん、対象商品やサービスの紹介をする目的に叶うためのPRであれば、遠方であったり、拘束時間が長くなったりすることは致し方ないと思いますが、その場合はまた違った形でメディア取材を誘致しやすくなる方策があります。
キャスティングは幅広に
芸能イベントを企画する際に、いの一番に相談されるのが
「今、メディアを一番呼べるキャスティングって誰ですかね?」
ということですが…「メディアを呼べる」を最優先にキャスティングすることは、お勧めしていません。
芸能イベントと言うのは水ものです。台風が来ればニュースは気象情報が優先され、エンタメコーナーは放送が取りやめになります。大物タレントの訃報や結婚情報やスキャンダルなど、突然のニュースに話題自体が吹っ飛ぶこともしばしば。
延期になった芸能ニュースは翌日放送してもらえることは稀。ニュース性が無くなるし、また次の放送すべき芸能情報が生じるからです。放送の機会自体、水ものなので、まず「イベントとして有意義」になるキャスティングを想定することが原則です。
ターゲットや目的に合致したキャスティングを検討した上で、その範疇の中でよりメディアを呼べるタレントさんを検討する、ということをお勧めしています。
普遍的に言えることとしては、「SNS上の人気者とオールドメディアのメディアバリューは別」ということと、男性か女性か迷った場合はスポーツ紙を呼べることを想定に女性の方がベター、ということでしょうか。
最後の手段
最終的に突き詰めれば、「水もの」である芸能イベント。
取材をメディアに検討していただく上で競り負けるような大型の事案がある場合は、露出獲得以前に取材に来ていただくことも難しいかもしれません。
単純にスケジュールの問題なのであれば記録素材を作って即粗編、即日芸能コーナー・担当ディレクターや記者に直接配信して露出獲得を交渉する手段や、
露出は無くても仕方ないからテレビカメラだけでも入れたい!など、クライアントの事情によって最後の手段もご提案しています。
ただ、目的と手段が本末転倒にならないよう、PRの意義があるイベントを企画する、と言うのは大前提、様々なプロモーションを検討する上で変わらない原則ではあります。