「誰に向けた」広報か

年度末。4月からの新規予算のために、各企業の宣伝・広報の担当者様から新規のお問合せが増える時期です。
まだ具体的に課題が見えていない中、「認知度向上のために外部に任せようという方針に」というお問合せ、
「テレビ露出をもっと稼ぎたい」という手段だけ決まっているお問合せ…
面倒くさいと思われても、こういうお問合せに対して、まずお伺いしたいことがあります。

「誰に向けた」広報か?ということです。

5W1Hまで固まらなくても

本来、手法が決まっているクライアント様には、
●対象物
●時期
●予算
だけお伺いすればご提案メニューは提示することができます。

ただ、そういう広報は本当に効果的なものにならないことが多い。
単純に「上の方針で」だったとしても、食べられるものを作って、と材料を与えられても、お腹が空いているからなのか、レシピをマネしたいのか、こちらの腕を試しているのか…何の目的化が分からないと、満足いただけるものが作れるかは分かりません。

「いつ」「どこで」「だれが」「何を」「なぜ」「どのように」
まで提示してください、とは言いません。「誰に向けてそれをやるのか?」の1つの回答だけで、おのずと5W1Hは正解が導き出されるものです。
生活者なのか、ビジネスマンなのか、未就学児なのか…誰がその製品・サービスを享受することを想定して、使いたい・試したい、と思っていただけるかを考えれば、おのずと5W1Hは埋まります。

PR活動の目的を整理すると…

なぜ「誰に向けた広報か」が大事なのかというと…

PR活動の目的を整理するには、
1)ブランドイメージ・訴求内容の選定
2)ターゲットの選定
3)戦略、戦術の確立

といった幾つかのステップを踏みますが、「誰に向けた広報か」が決まれば、おのずとPR活動の目的が整理されるからです。

これは「テレビ露出をもっと稼ぎたい」という手法だけが決まっている状態でも同じ。
「小学生とその親に向けてテレビ露出を稼ぎたい」ならば、
自社の商材で親子が興味を持つものは●●、●●が売れる時期は春、GWでは散在するからその前に施策を打ってGW前~GW中に購買促進をした方が効果的だ、子供に人気なものと組み合わせたらどうか、小学生ならばSNSではなくオールドメディアや地域コミュニティなどから情報拡散していった方が良いのでは…など、「誰か」の日常生活や興味関心事から自然で好意的に受け取れる情報は何かを突き詰めていけばよいからです。

PRが受動的なメッセージだからこそ、ターゲットのライフスタイルの中に自然に組み込まれるシーンを想定して、プロモーションを組み立てる必要があるのです。

「誰」の決め方

1)商品・サービスの特性から
当然のことですが、ここからスタートする必要があります。
例えばランドセルを売る場合、使うのは小学生ですが、買うのは親・または祖父母。でも、子供自ら「こういうのが欲しい」と声をあげられる年齢でもあります。
誰得な商品なのか、によって訴求メッセージが決まり、それに合致する手段を選ぶことができます。

2)興味関心から
特に新しい商品ジャンルだった場合、属性・デモグラフィック情報ではなく、「興味・関心」のジャンルで捉えることも一つの手段です。「サッカーを見るとき用のビール」とか、「キャンプ飯に使う調味料」など、関心が高いトピックに基づいてPRメッセージをデザインすることができます。

3)ニーズと課題
その商品やサービスを必要としている人は誰か、と考えるときに、彼らが抱える共通の課題を理解することも重要です。
その課題に対してどういう価値を提供できるかを明確に打ち出すメッセージやコミュニケーションチャンネルを考えることができます。

「誰に向けた広報か」を突き詰める

まずは、「誰に向けた広報か」を考えてみましょう。
おのずと、訴求すべきメッセージやタイミング、手段が決まってきます。

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