テレビ番組と二次利用

テレビ番組は、情報やエンターテインメントを提供する媒体として広く利用されています。
自社や自社商品・サービスが紹介されたテレビ番組をPR目的で商用活用することを望むクライアント様は多いですが、テレビ番組を自社のオウンドメディアに直接紹介することは原則的に許諾を取り切れないため、困難です。

テレビ番組はそもそも二次利用できる?

(テレビ番組に関わらず)メディアを二次利用するには原則として、著作権者や著作隣接権者、すなわち番組に関係するすべての権利者に許諾をとる必要があります。
放送番組には、放送局・出演者・原稿や構成を考える作家や番組で流れる音楽の制作に関わった人や会社など、著作権を有する権利者が多数存在します。
動画媒体であるテレビ番組は、情報量も多くBGMなどもあるため、他のメディアよりさらに許諾をとるべき権利者が多く存在し、すべての権利者から許諾をとるのは現実的には困難です。

新聞やWEBメディアに関しても同様。メディアは二次利用を許可していない、または許諾確認に対して回答しないためです。

原則的に、「メディアの二次利用は出来ない」のです。

テレビの二次利用はなぜ「できる」と思われる?

未だに「二次利用できる番組でパブリシティを獲得したい」という矛盾したリクエストをいただくのも致し方ないと思いますが、もともと「二次利用できないようなメディア」で実施するから「パブリシティ」なのである、という大前提をおいておいたとして…
TVerや番組の公式YouTubeチャンネルの拡大によって、原則「できない」二次利用が「できる」と思われがちな現状は拡大傾向にあります。

二次利用できると思われる理由① オンデマンド視聴の普及
TVerや番組の公式YouTubeチャンネルなどのオンデマンド視聴プラットフォームが普及することで、視聴者は好きなタイミングでコンテンツにアクセスできるようになりました。これにより、番組をリアルタイムで見逃しても、後から視聴できるようになり、再利用のような錯覚が生じることがあります。

二次利用できると思われる理由② 公式チャンネルの提供形態
番組の公式YouTubeチャンネルが番組のクリップやハイライト、関連コンテンツを提供することがあります。これにより、元のテレビ番組とは異なる形態で同じコンテンツが提供されるため、再利用と混同されやすくなります。

しかし、①も②も、番組を制作している側が行っていることで、あくまで制作者や権利者による公式な提供であり、通常の二次利用の範疇には含まれません。二次利用には通常、制作側の了解やライセンスの取得が必要ですが、公式プラットフォームではこれらが事前に整備されているため、同じようなオンラインの動画プラットフォームの発達によって、一般の視聴者が再利用と混同されやすくなっているのが、「二次利用ってできるよね」と簡単に言われがちな一因だと感じています。

「ステマが厳しくなった」などと言われるより、こちらの方が本来的な広報活動・PRの意義のご説明不足、私たちの力不足を感じるときでもあります。

「ヒトのふんどし」だから価値がある

「パブリシティ」は視聴者に共感を呼び起こし、ポジティブな製品やサービスへの好意的な印象のみを「メディア」が取り上げることで、価値が醸成されるものです。
「これを取り上げて欲しい」と思っても、そこに普遍的な価値が存在し、それを見出して創造的なアプローチをしなければ、狙った露出にならないからです。

あくまで「ヒトのふんどし」なので、取り上げられたものの転用が出来ないのです。

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