そのメディア向け資料、誰宛て?自分語りとラブレターの分かれ道

メディア向け資料はラブレター

「何か出来合いの資料でいいんで」「これ使いまわして」「価格表ありますか?」
PRの仕事をしていると、こういう一言に出会うことがあります。こちらの手間を慮ってのお申し出だったり、業界を知らないゆえの発言だったりするのは承知の上ですが、それだけでは伝わらないのが、提案資料。「プレゼン資料は誰かにあてて書く手紙のようなもの」とはビジネスシーンではよく言われがちですが、
メディア向けの企画提案や、私たちのような代理業のクライアントへの提案もしかり、メディア=生活者にとって、クライアント=顧客にとって、のラブレターのようになるように設計されていなくては、と思います。

少し前までは「社内研修的にも、外部提案上も、マニュアルになっていないと仕事にならないよ」とよく言われたものですし、
弊社でもマネジメント上何がベストが思案したものですが、ゼロクリックになった現状で、「マニュアル」や「目安」や「概案・概算」は手に入る。
「各論」や「具体案」が必要なフェーズが戻って来たのでは、と思っています。

提案資料は「自分語り」と「ラブレター」の2種類がある

提案資料には、「自分語り」と「ラブレター」の二種類があります。
自分語りの資料は、主語が「私たち」。実績、強み、セールスポイント、性能、適正な価格、豊富なカラバリ…。いずれももちろん、きちっとした事実。でも、読み手が「で、それは私に何の関係が?」と思った瞬間に、ページは閉じられてしまいます。
ラブレターの資料は、主語が「あなた」。相手が今何に困り、何に関心があり、どんな言葉なら届くのか。それを考え抜いたうえで、「だから私たちはこういう機能を提供します」「こういうライフスタイルを提案します」と添える。両者を分けるのは書き手の腕前ではなく、この「相手のことを想像した」立ち位置・考え方・主語の置き方への意識だと思います。

リリースやファクトブックは、「自分語り」が基本です。それはもう絶対ですし、情報を受け取る側(メディアなど)もそのつもりで読むので、「自分語り」がむしろ分かりやすいのです。
ただ、企画提案書は「ラブレター」で無ければ読まれません。それはうちの番組に、うちの誌面に、何の影響が?それ、どのコーナーでどういう風にやるつもり?何で今それを取り上げる必要があるの?そこまで想像できるような資料で初めて企画提案になっています。

宛先は、メディアとユーザーの2つ

PR会社である私たちには、2つの宛先にラブレターを作成することが多くあります。その宛先は、「メディア」と「クライアント」。
一般企業であれば「メディア(等のステークホルダー)」と「ユーザー」になると思います。

①メディア向けのラブレター:
メディアは常に、いまの社会の空気や季節、視聴者・読者の関心から企画を組み立てています。そこへ「新商品が出ました」と持ち込んでも、(企画としては)通りません。社会の流れにきちんと沿わせ、その文脈のなかにクライアントの商品やサービスが自然に登場するよう組み直す。同じネタでも、番組の企画ごとに切り口を書き換える。最低限これらを企画案に盛り込むことが必要です。
②クライアント向けのラブレター:
企業の広報の方であれば、ユーザー向けと考えてください。やりたいこと、やったほうがいいと思うことを並べる場では無く、ユーザーの生活課題の何を解決し、どういう気持ちになってもらえる商品・サービスなのか。それを、分かりやすさを土台に示すのがラブレターの基本。

だから私たちは、お仕着せの資料を持たない。
もちろん資料のベースやソリューションの手法は似たり寄ったりの場合も有りますが、「決まった金額表」や「フォーマットの資料」を持っていないという事実より、毎回ゼロから「相手に合わせて」向き合っている、と言うほうが正確かもしれません。

「壁打ちはいくらでも」の熱量

提案資料・プぜ連資料を作成するときは、まず「誰に、何のために、どう届けたいのか」を考える。相手がいる場合は聞き返す。ここに言葉が返ってくる相手とは、一緒にラブレターを書ける。返ってこないなら、それもひとつの答えとして、相手が何を求めているかが分かります。
聞き取った内容と回答をまとめ、構成を整える程度なら、1時間ほどで形になるだけのソリューションが今はいくらでもあります。
技術的には容易いからこそ、相手が求めているモノの形に迷います。そのメディアは、そのユーザーは、何を求めているか。私たちはそれを、毎回測って提案書を作成しています。
…もちろん、刺さる・でも簡潔な資料で、大量の話術で口説き落とせることを目標に(笑)

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