27年卒の新卒採用活動が始まっています。
以前ほど「広報」という肩書が“キラキラ”しなくなりましたが、キラキラのイメージがまだある場合…それはPRパーソンではなくインフルエンサーです!
情報も、それを伝える媒体も複雑化・多様化する現代で、企業や団体が社会にその価値を正しく適切に伝えていくために、PRの役割はますます重要になっています。私たちは、クライアントのパートナーとして戦略を描き、メディアや生活者との対話を通じて、社会に新しい価値や視点を届けています。
PRの仕事は、単なる情報発信ではありません。クライアントのビジョンを深く理解し、時代や社会の文脈=いわゆる「空気」を読み解きながら、多様なステークホルダーとともにストーリーを紡いでいく、クリエイティブでダイナミックな仕事です。
広報担当を採用するのに困っているクライアントからのご相談が増えています。採用担当者も、PR会社への転職希望者も、PRパーソンを目指す学生さんも。
異業種からの転職者やポテンシャル採用も増えていますが、この多様化する情報社会で、それ以上に大事な「優秀なPRパーソンの資質」と、それを見極めるための具体的な視点を4つの観点から解説します。
ストーリーテリング ~情報を物語に変換できる人、変換しようとする力
PRパーソンに最も必要なのは、断片的な情報や事実を、社会に響く「物語」として再構築できる力です。
これだけの情報リソースが溢れる中、情報を収集したり、クライアントの商品スペックや企業理念を単に伝えるのはAIでもできます。
それを収集しながら、「なぜ今この情報が社会に必要なのか」「誰のどんな課題を解決するのか」「その結果何を生み出せるのか」という文脈を見出し、メディアや生活者が共感できる形に翻訳する能力が求められます。
採用担当者が、最近気になったニュースを聞くのは、背景や文脈、なぜ気になったかまでをこたえられるかどうかを観ています。
これは、なぜなぜ?と毎日のニュースで理由を深く考え、自分ならどう思うか、どう説明するかなどを考える癖をつけるとよいと思います。
特に、今は考えなくても答えが出る時代。答えを自分で導き出そうとする姿勢が養われるのも力になります。
転職チャレンジ中の方は、経歴や実績を説明する際に業務内容や受賞歴の羅列でなく、どのように課題設定をし、何を評価されてきたか論理的・かつ魅力的に語れるか、を考えて面接に臨むとよいと思います。
学習意欲と適応力 ~変化だけでなく何でも「前向き」に受け入れる力
従来型のマスメディアに加え、SNS、ポッドキャスト、YouTube、生成AIなど新しいチャネルやツールが次々と登場し、消費者の情報接触行動も多様化しています。このような環境下では、「わからないこと」を恐れず、むしろ新しい知識やスキルの習得を楽しめる姿勢が不可欠です。
企業の広報担当でなく、PR会社に勤めるPRパーソンには、もっとこれが必要。なぜなら、毎回クライアントの業務内容だけでなく、その業界のことをクライアント以上に深く知ろうとし、多角的に捉えられる視点が必要だからです。「toB業態は難しいから苦手~」などと言ってられません(笑) 難しい、苦手、でもこんなことが知れて面白い!と思えるのがPRパーソンに必要な資質です。
PRパーソンはミーハーな人が多い、というのが昔ながらの広報担当のイメージかもしれませんが、ミーハーというより、世の中のトレンドに常に敏感であろう、とする意欲は強く、それが苦にならないヒトが向いている、と言えると思います。
ステークホルダーマネジメント力 ~多様なコミュニケーション能力
「誰とでも仲良くなれます!」というのももちろん大事ですが、正直にそう語ってよいのは学生さんだけ…むしろ、普段は人見知り、というヒトの方が実は深いコミュニケーション力を持っていたりするものです。
PRの仕事は「人」を介して進めます。
企業の広報担当者は、社内のあらゆる部署から情報収集を行い、企業の広報リソースを生み出さなければなりません。
PR会社のPRパーソンなら、クライアントの担当者だけでなくマーケティングや法務担当者とも向き合い、その情報をさらにはメディアやインフルエンサー、時にはクライアントのお客様や協業者ともコミュニケーションを図るシーンが生じます。
相手の立場と関心事を即時に理解し、適切なコミュニケーションで信頼関係を構築する力は、実は最も大事な資質と言えるでしょう。
採用の際にグループディスカッションの選考を取り入れられることがあるのも、他者とどのように対話していくかを見極めています。
必ずしもディスカッションのリーダーシップを取らなくてはならないということではなく、その時々の立場に応じた傾聴力や質問力が問われています。
社会への関心とリテラシー ~「今」を捉える能力
PRパーソンに限らず、優秀な「営業」担当は、常に社会のトレンド、課題、価値観の変化にアンテナを張っています。幅広い業界知識、時事問題への理解、メディアの論調や生活者の関心事を把握していることが、的確な戦略立案や企画提案につながることは、どんな業務でも同じ。
また、情報を受動的に消費するだけでなく、「なぜこの切り口なのか」「誰に何を伝えようとしているのか」と批判的に分析できるメディアリテラシーも重要です。
社会に関心があるだけでなく、そのリテラシーを発揮できているか。
これも、ストーリーテリング同様、「自分で感じ、考える資質」が問われているのです。
PR業界では、必ずしも業界経験や学歴が成功を保証するわけでも、特定の資格が必要なわけでもありません。それよりも、物語を紡ぐ感性、学び続ける姿勢、人と協働する力、社会への関心という4つの資質を持った人材こそが、長期的に成長し、チームに貢献してくれます。これは、優秀な「営業マン」に通ずるものです。
採用担当者は、応募者の過去の実績だけでなく、「この人は変化の激しいPR業界で成長し続けられるか」「多様なクライアントや案件に対応できる柔軟性があるか」というポテンシャルを見極める視点を持つことが重要です。また、スキルや経験以上に、自社の企業文化や価値観との適合性も採用成功の鍵となります。面接プロセスの中で、応募者に自社のビジョンや働き方をしっかり伝え、双方向の理解を深める機会を設けることをお勧めします。




