まだお付き合いの日が浅いクライアントから、特によく言われること。
「どうしてそこまで聞くの?」
飲食業の企業様であれば「メニューはHPとかIGに掲載している」とか、
toB事業の企業様であれば「社員のキャラクターなんかそんなに面白いヒトいないよ」とか…
PR会社が執拗に質問攻めにするのは、深い理由があります。
逆にこの質問力が、弊社のようなテレビを中心としたメディアリレーションをご提供しているPR会社の力量です。
メディアリレーションの中でも特にご要望が高く、より情報量が求められるテレビパブリシティを成功させるために必要な「社内の情報収集」の重要性について、
分かりやすく、飲食業の実例を交えて解説します。
テレビは「ストーリー」を求めている
人気全国チェーンの恒例季節メニューや話題のキャラクターとコラボした新メニューなど、1つのメニュー・1つの話題だけがニュースになるような大きなトピックがあれば、ニューストピックの1つとして取り上げられるかもしれません。
殆どの場合が、「うちのブランドを取り上げて欲しい」「うちのレギュラーメニュー・人気メニューを試食してほしい」ですよね。
テレビ番組が求めているのは、「多くの人が知っているメニューの情報」ではありません。視聴者の心を動かす「ストーリーを伴った情報」です。
メニューの提供1つとっても、
「門外不出のレシピの人気パスタ」では何だか分かりません。
「20年通い続けた伊・ボローニャの老舗の門外不出のレシピを日本に持ち帰り、日本の風土と食材に合わせて開発し直すこと3年、行列店の仲間入りのきっかけとなった人気パスタ」
だと、どうでしょう。日本の風土に合わせてどう変えたの?日本の食材はイタリアとどう違ったの?と、ストーリーが膨らみます。
これらは、番組から聞かれて初めて回答するのでは、企画成立に至りません。番組が取り上げたいなと思って初めてこういった質問が生じるので、番組が能動的に取り上げたいな、と思うためには、こういったストーリーの積み重ねを予め提示する必要があります。
その質問は無駄じゃない!
では、とういう質問が有効なのか、もちろん業態やその事業のストーリーによって異なりますが、例えば、飲食業では王道の以下のような質問は、何を意図しているのか、無駄に見える質問の真意を考えます。
質問例①:創業のきっかけ/オーナーのルーツ
・「地元出身者」の活躍がストーリーになりやすい
・「地元の食材」「地元の味わい」などにつなげやすい
・創業のきっかけ=事業成功の秘訣、ビジネスストーリーとしても採用しやすい
質問例②:「常連客に変わった方はいない?」「一番多い客層は?」
・客層によって番組ターゲットが分かれる
・常連客からその店の嗜好、常連客だから分かる魅力を知れる
質問例③:「仕込みは何時から?」「休みの日は何を?」
・お店の一日の流れを知り、企画の幅を広げる
・日ごろから興味を持っているジャンルを知り、店主やオーナーの今後の展望を探る
質問例④:「一日何食限定」「人気メニューランキング」
・テレビの“好物” 数字とビジュアル
企業側が社内の情報を収集するコツ
ここまで検討してきて、「理解はできても、社内の情報収集をするのが大変なんだよ!」というご意見は多数。
クライアント側が、容易に情報収集するように、質問を分かりやすくまとめるのも、我々の仕事です。
どのように社内の情報収集をしたらよいでしょうか。そのコツがあるのです。
1つの質問にも「5W1H」を意識する
What(何を): メニュー名、価格、食材、調理法
Who(誰が): シェフの経歴、スタッフの特徴、創業者の背景
When(いつ): 創業年、リニューアル時期、仕込み時間、営業時間
Where(どこで): 立地の特徴、食材の産地、修行先
Why(なぜ): 開業理由、メニュー開発の経緯、こだわりの理由
How(どのように): 調理工程、素材の選び方、接客スタイル
数字が語れるモノはリスト化しておく
創業○年
一日○食限定
開発に○年かかった、○回試作を繰り返した
○年からの人気メニュー
○時間煮込む/熟成させる
○種類の食材を○㎏使用
リピート率○%、遠方からの来店率○%
ビジュアルを記録しておく(スマホで撮影する習慣)
料理の調理工程(仕込み〜完成まで)の動画
仕込み風景の動画
厨房の様子の動画や写真
創業時の写真
修行時代の写真
地元食材の生産者との写真
常連客との写真(許可を得たもの)
社内の協力を得る
これには「社内散歩」をお勧めしています。日ごろからどのパワーバランスで、誰が現場の情報に詳しく、どこが情報の上流か。
…とはいえ、「トップがPRに積極的である姿勢」を示してもらうのが一番社内の協力を得るには早道なのですが…
情報収集は「面倒な作業」でなく「社内の宝探し」
テレビパブリシティの成功は、どれだけ魅力的な「物語」を提供できるかにかかっています。
PR会社が細かく質問するのは、あなたの店に眠っているまだ気づいていない宝物を見つけ出すため。
「そんなこと、番組に関係ある?」と思う情報こそが、視聴者の心を掴む鍵になるのです。
契約しているPR会社から、またはメディアから、次回から質問が来たら、「面倒だな」ではなく「これがテレビの企画に繋がるんだ」と思って、ぜひ丁寧に答えてみてください。また、その質問の真意について説明を求めましょう。
その一つ一つの情報が、あなたの店を全国に届ける力になります。




